国内未解決事件:日本犯罪史に遺された「迷宮」の記録

日本の安全神話を揺るがし、人々の記憶に深く、鋭く刻まれたまま、ついに「正解」に辿り着かなかった事件たちが存在する。それらは単なる「未解決の事件」という記録を超え、その時々の日本社会が抱えていた歪み、あるいは誰もが気づかなかった「死角」を冷酷に暴き出す、時代の鏡となっている。

本カテゴリー「Japan Unsolved Cases(国内未解決事件)」では、戦後昭和から平成に至るまで、日本中を恐怖と好奇心の渦に巻き込んだ象徴的な未解決事件を紐解く。
誰も傷つけずに巨額の現金を強奪した「昭和の神話」。大手食品メーカーを人質に取り、メディアを舞台装置に変えた「企業テロ」。そして21世紀の幕開けに突きつけられた、あまりにも異常で、あまりにも残酷な一家惨殺。
それぞれの事件が内包する圧倒的な「個」の意志と、それを追い詰めようとした科学、そして最後には闇に溶けてしまった真実の輪郭。ここにあるのは、終わりのない、しかし決して忘れてはならない日本の裏側にある「迷宮」の肖像である。 三億円事件(300 Million Yen Robbery) 1968年、府中刑務所裏。わずか3分間で演じられた完璧なまでの強奪劇。暴力なき犯行が生んだ「憎めない犯罪者」という幻想と、戦後最大のミステリー。 グリコ・森永事件(Glico-Morinaga Case) 1984年、日本中のお菓子から「安心」が消えた日。「かい人21面相」からの挑戦状と、今も語り継がれる「キツネ目の男」の正体。 世田谷一家殺害事件(Setagaya Family Murder) 2000年大晦日の惨劇。あまりにも多くの遺留品、あまりにも明確なDNA。それでも犯人が見つからないという、21世紀日本の治安が抱える致命的な「空白」。
未解決であるということは、その犯人がいまも私たちの隣で、何食わぬ顔で息をしているかもしれないということだ。ページを捲るたびに、あなたは歴史という霧の中に潜む、消えない悪意の息遣いを感じることになるだろう。


