猿夢:脳内サンドボックスへの侵入者と、強制覚醒を嘲笑う「また逃げるのか」
2000年代初頭、インターネット掲示板「2ちゃんねる」に投稿された 「猿夢(さるゆめ)」 は、夢という極めてプライベートな空間を舞台にした「ドリ

21世紀初頭、日本のインターネット掲示板「2ちゃんねる(現・5ch)」の『死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?(通称:洒落怖)』から、それまでの伝統的な怪談とは一線を画す、全く新しい恐怖のパラダイムが誕生した。
それが 「現代奇談(ネットロア)」 である。
ネット以前の怪談が「過去の体験」を語るものであったのに対し、現代奇談は 「今、ここで起きていること」 を共有する。
「実況」という共犯関係 :投稿者がリアルタイムで異界からの報告を行い、スレッドの住人がアドバイスを送る。読者は単なる傍観者ではなく、物語を共に構築する「共犯者」となる。
リミナル・スペース(境界空間) :きさらぎ駅、杉沢村、廃墟。日常のシステムがふとした瞬間にエラーを起こし、本来アクセス不能なはずの「不良セクタ(異界)」へとスライドする恐怖。
認知災害(バジリスク) :くねくね、コトリバコ。情報を「知る」「理解する」こと自体が呪いの発現となり、物理的なダメージ(発狂や体調不良)を引き起こすという、デジタル・ウイルス的な特性。
当カテゴリーでは、インターネットが最も「闇」を孕んでいた時代に産み落とされた、珠玉の怪異たちを収蔵している。
技術が進歩し、世界がインターネットという巨大な神経網で結ばれた現代。かつての暗闇は、検索エンジンによって照らされたかに見えた。
しかし、情報は拡散すればするほど変異し、新たな「闇」を作り出す。現代奇談とは、光り輝くデジタル社会の裏側で、私たちが無意識に繋ぎ止めている「原始的な畏怖」のバックアップデータなのかもしれない。