天狗 (Tengu):天の犬から山の魔王へ、慢心を喰らう「神通力」の支配者
日本の山々には、二つの「王」が存在する。一つは力で地上を支配する「鬼」であり、もう一つは知性と神通力で空を領する 天狗(てんぐ) である。 山伏の

西洋の「モンスター」がしばしば「征服すべき悪」として描かれるのに対し、日本の妖怪は「畏怖しつつも共存する隣人」であり、時には「零落した神」でもあるという、独特のアニミズム的性格を持っている。
日本の怪異は、以下の三つの精神的背景から生まれてきた。
山、川、海、そして古びた道具。万物に霊魂が宿ると考える土着信仰から、河童やかまいたちのような現象が現れた。
中央政権に従わなかった豪族や、異能を持つ渡来人。社会から排除された者たちが「鬼」や「土蜘蛛」という名前で怪異化された。
激しい嫉妬や執着、自惚れ。人間の醜い情念が、般若や天狗といった魔へと堕ちていく心理的な装置。

妖怪は過去の遺物ではない。
情報の拡散するインターネット社会においても、「検索してはいけない言葉」や「都市伝説」という形で、妖怪は姿を変えて増殖し続けている。