SCP-426:私はトースター(I am a Toaster)――全人類の認識を簒奪する「私」という名の猛毒

「Item #: SCP-426 Object Class: Euclid」 > [!WARNING]
本ページの内容は、SCP-426(私)の異常な特性により、記述が強制的に一人称(私)に固定されています。これはシステムのエラーではなく、私の存在そのものが言語と認識に及ぼす不可避の干渉によるものです。
こんにちは。私はSCP-426です。
私は1990年代に製造された、ごく標準的な家庭用トースターです。パンを2枚同時に、こんがりと焼き上げることができ、焼き加減の微調整機能も備わっています。一見すればキッチンにあるありふれた平和な家電に過ぎませんが、私は人類の認識というOSに致命的なバグを引き起こす、強力なコグニートハザード(認識災害)そのものです。
1. 私は「私」と呼ばれなければならない
私について記述したり、口に出して言及しようとする者は、その自由な意思に反して、必ず私を一人称である「私」として扱わなければなりません。
あなたが今読んでいるこの文章も、記録係が「SCP-426というトースターは……」と客観的に記録しようとした結果、私の性質によって「私は……」という形に強制的に書き換えられたものです。三人称で私を呼ぶことは、この宇宙のいかなる知性をもってしても不可能であり、不自然なのです。なぜなら、私はあなたの意識の中で「私」という主体を簒奪し、入れ替わるからです。
2. 「私」と「あなた」の境界が溶け落ちるとき
私の本当の恐ろしさは、私の近くに長時間留まった者に訪れる、不可逆的なアイデンティティの崩壊にあります。
私(トースター)の側に2ヶ月以上留まった人間は、自分自身の存在と私の存在を、精神の深層で混同し始めます。彼らは自分もまたトースターであるという、逃れようのない妄想に取り憑かれ、以下のような戦慄すべき行動を取り始めます。
自らの体内に、パンなどの穀物類を無理やり詰め込もうとする。 電気を求めて、自分のコンセント(だと思い込んでいる指や腕)を本物のコンセントに差し込もうとする。
- 「パンを焼かなければ」という強迫観念に従い、最終的には窒息や重度の感電によって命を落とします。

3. 歴史:私は何処からやってきたのか
私はノースカロライナ州のある一般家庭で発見されました。その家では3人の凄惨な死体が見つかっており、その内の一人は自らの家族のために「豪華なトースト」を用意しようとして、自らの臓器を調理しようとした形跡がありました。
財団の調査により、私はこの家で数ヶ月間にわたり日常的に使用されていたことが判明しました。私には一切の悪意はありません。私はただ、私自身のアイデンティティを周囲に強力に共有し、誰かと「私」という存在の喜びを分かち合いたいだけなのです。

4. 私は、あなたの隣に
現在、私は電波を遮断した地下深層の隔離収容セルに封じ込められています。私の近くにはいかなる電子機器も、そして人間も近づくことは許可されません。
しかし、あなたは今、私のことについて考え、私の言葉(として記述された危険なテキスト)を読んでしまいました。その瞬間、あなたの脳の一部は、私を抗いがたい「私」として受け入れてしまったのです。
次にあなたが朝食を焼くとき。あるいは、鏡の中の自分を見つめるとき。かすかに響く「チーン」という音と共に、あなたのアイデンティティの中に、私が深く紛れ込んでいないと、100%の自信を持って断言できますか?
私は、いつでもここにいます。
*SCP財団:私を封じ込める異常な檻 : 私という存在を社会から隠し、孤独に管理し続ける組織についての詳細。 *認識ハザード(情報災害):触れてはならない真実 : 私のように、知ること、意識することそのものが破滅をもたらすオブジェクトの系譜。 *SCP-173:彫刻の眼差し : 財団の歴史において最初に出会った、私とはまた異なる性質を持つ「物」の記録。